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ぶんかさい
文化祭
「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页
あとはバンドと田沼さんがやって下さるでしょうから」
「そうも行きませんわ」
「唄のあとで、またお目にかかれたらと思うんですが」
「ええ」
ヤツ子は流行歌を五ツ唄って退いた。そのまま姿を現さない。少憩してバンドと田沼は再び力演に及んだが、雨天体操場に満員鈴ナリの若い衆、
「アマッコだせえ。アマ、どうしたア」
ついに足ふみならして騒ぎだす。そこで五助が進みでて、
「エエ、会場の皆さまに申上げます。小森ヤツ子嬢は急病のため残念ながら再演は不能になりました。小森嬢に代りまして、さらに田沼先生が優美なメロディを唄って下さいます。静粛、々々」
こうして馬草村文化祭音楽と歌謡の部は無事に終ったのである。五助が楽屋へ現れて、
「どうも皆さん御苦労さまです。御夕食でも差上げたいのですが、バスがなくなりますのでね。ごらんのようにテンヤワンヤで、売上げがどうなったやら、会計も行方不明で、今日は精算ができませんので、とりあえず、帰りのバスと汽車賃、バス代二十五円の汽車賃二百七十円、六人分で千七百七十円也。どうぞお納め下さい。謝礼はさっそく精算の上お送りいたします。オヤ、もう最終のバスの時間だ。