轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页

青空文庫

これに乗りおくれると、大変。急ぎましょう」

「お茶がのみたいね」

「とんでもない。東京とちがいまして、このバスに乗りおくれると狐に化かされてしまいますよ」

「ヤツ子さんは?」

「一足先に帰京されたのかも知れませんね。なんしろテンヤワンヤでして。モシモシ皆さん。本日の主賓、われらの芸術家を先にバスにお乗せ下さい」

五助は人々を拝み倒して六人を先頭にのせてくれた。約束の日当一人千円、それに往路の足代千七百七十円、まさか払わないとは思わないから、一行はせきたてられ泡をくらッてバスにのりこんだ。バスにのって、さてつらつら考えるに、チョッキリ帰りの足代を貰っただけでは夕食のサンドイッチにありつくこともおぼつかないのがようやく分った始末であった。昼飯の代用に蒸したジャガイモと一人当り三枚ほどのセンベイのモテナシをうけただけであるから、一行は腹の皮が背中にひッつく状態で溜息をもらす力もなく帰京した。

★

信二は自宅裏の雑木林へヤツ子を誘った。夕食までの腹ゴナシと、ついでに抒情的感銘を深く切なくしようという寸法である。

ところがヤツ子が信二の云うままに唄を軽く切りあげて会場を去ったのは、その感銘に縁のない理由からだ。