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ぶんげいはしんかするか、そのた

文芸は進化するか、その他

平林 初之輔

「新潮 第二七年第六号」1930(昭和5)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,597 字 · 13 页

青空文庫

だが、文学における小説の覇権はいつまでつづくだろうか?

吉江喬松氏は、『朝日新聞』で、歌の復活を説き、大叙事詩時代の到来を予想しておられる。小説が次第に解体して進歩らしい進歩を停止してからもう余程になるので、この主張には、少なくも非常な魅力があることは争われない。しかし小説の解体が、従来のような意味における詩の復活の方へ向かうかどうかという問題は、まだまだ考慮の余地があるだろう。

イギリスの批評家ハイレア・ベロックは小説の近い将来における滅亡を主張している。それは、小説という文学の品種は、最近著しく、機械化し、速度化し、能率化してきた現代人の生活と不調和な存在になってきたからだというのである。彼によると現代人の生活には、まとまった暇がない。小説を書いたり、それを読んで鑑賞したりするような余裕が、現代人の生活からは急激に奪われつつあるというのである。そして機械の普遍化のために、従来の小説の中の芸術的要素として重んじられたものが、今日では漸次無用の長物となりつつあるというのだ。

ともあれ、世界的な視野において見渡すとき、小説という文学は十九世紀末以来、少しも進歩しないで、かえって退歩したかのような感じを与える。