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あたらしいまち
新しい町
小川 未明
「幼年クラブ」1947(昭和22)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,189 字 · 7 页
こうしてあそぶのは、今夜だけですからね。』といった。わしは、おどろいて、『えっ、今夜だけ。』とたずねると、『ぼくは飛行兵を志願したので、あす南方へ出発するのです。』といったが、たぶん、あの学生さんはかえってこまいと思ったのさ。」と、おじいさんは、まただまってしまいました。
勇吉は、さっきからおじいさんのだまっていた心持ちが、わかるような気がしました。
あちらへ、赤い風船球を売る屋台がでました。また、金魚売りが、荷をおろしていました。まわりへこどもらが、集まっています。その風景は、今も昔と、すこしの変わりもありません。ただ、ぼくや正ちゃんがあの中にいないだけだと、勇吉は思ったのでした。
ここへ、店を出してから、じき一年になるが、毎日待っても、おとうさんはかえらないばかりか、仲よしの正ちゃんまでとおらないのが、勇吉には、たまらなくさびしく感じられました。
まれに、おかあさんを知る人が、通りかけて、
「まあ、こんな、お小さいのに。」と、自分を見ていうと、おかあさんまでが、
「いまから、くろうさせたくないのですが。」と、答えるのです。勇吉には、それがいちばん悲しいのでした。