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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
利も入れず、高瀬の金を借りぱなしにしていることまで、彼等の攻撃材料になって、訴訟の一部として取り扱ったなら、都合よく運ぶと云われて、孝之進は、原告側の主脳者に、自分が委任されたこと全部を、またまかせることにしたのである。それこれでお咲の帰国は、次第にのびていた。が、さあ明日行くというときになって、年寄達もお咲もその他周囲の多くの者が、或る一つのことを感じ出した。それは最初この話が出たときに、浩が得たと、全く等しいものであった。けれども皆だまっていた。ほんとうに皆だまっていた。「早くよくなってお帰り」とか、「今度会うときには、さぞ達者らしくなっているだろう」とか云いながらも、変な心持がしていた。浩はその中に立って、自分の周囲に、「云っちゃあいけないんだろう? え?」というささやきが飛び合うているように感じた。それに拘らず、永年の習慣で、人達は、非常に自然らしい技巧で、手際よく表面を、円滑にしていた。
出発の日は陰気な、いやにドンヨリした天気であった。浩が午後七時の列車で立つ姉達を送りに停車場へかけつけたときは、もうよほど時間が迫ったので、何事も落付いて話す余裕がなかった。