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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊涼風特別号」1954(昭和29)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,297 字 · 56 页
十郎太は旅嚢をひらいて、一通の封書をみつけ、中から巻いてある紙を取出した。
「これをみて下さい、それから説明します」
菅田平野は受取って披いた。それには次のようなことが書いてあった。
斬込隊指揮
井坂十郎太
寺田 文治 (馬廻七十石)
保川英之助 (徒士目付五十石余)
河原 源内 (同三十五石)
城がかり指揮
守島 仲太 (鉄炮組支配七十石)
関口兵次郎 (櫓番五石余)
八田益太郎 (徒士組番頭六十石)
三方木戸
寺田乙三郎 (文治の弟)
広瀬 半六 (鉄炮組番頭五石余)
島口 存平 (徒士頭五十五石余)
この連名には血判が押されてあり、奸臣誅殺の趣意が書いてあった。
「斬込隊は各分担の奸物を斬る」と十郎太は説明した、「――木戸というのは城下町三方の口を押え、城がかりは大手、西、搦手の三門を固める、こういう手筈で、各組とも三十人から五十人の部下が集まる予定でした」
「なるほど」と菅田平野が云った。「――なかなかこれはゆき届いたものですな、ええ」
そして彼はまたじっと考えはじめた。
陸田城代は自白書を書くだろうか、「日日平安」などという暢気な人だから、高をくくって書くかもしれない。