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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊涼風特別号」1954(昭和29)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,297 字 · 56 页
関口兵次郎はふっくらとしたまる顔で、好人物らしいかわいい眼をした、まだ子供っぽさの抜けない若者だった。
「こいつら、斬っちまったらどうです」
紹介が済むのを待ちかねたように、河原源内が(微笑したまま)二人の捕虜を指さしながら云った。
「いや待って下さい」菅田平野は首を振った、「――その二人にはなんの罪もないし、自分でしている事の意味も知ってはいない、またその二人に限らず、こんどの事ではできる限り殺傷沙汰は避けることにしましょう」
「斬るのは三首魁だけということですか」
「いやその三人もです」と菅田平野が十郎太に云った、「――法の裁きなしに人を斬れば、こちらに理があってもとがめなしには済まない。幾人かの者は責任者として」
「それは覚悟のうえですよ」寺田文治が遮って云った。「――われわれは初めから身命を捨ててかかっているんです」
「しかし不必要に死ぬことはない」
「それがいけないんだ」と河原源内が云った、「――そういう考えかたをするから敵に先手を取られたんだ、あいつらは法を無視し、不義無道を平然とやっている、藩中の非難の声にも、領民の哀訴にも耳をかさない、もはや力で倒すほかに手段がないからわれわれはやるんだ、やるべき事は断乎としてやろうじゃありませんか」