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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
「サンデー毎日臨時増刊涼風特別号」1954(昭和29)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,297 字 · 56 页
来客の二老職とは、仲島弥五郎と前林久之進に違いない、そして、源太夫が二人を呼んだのは、寺田たち九人の者が不在であること、したがって大里村の光明寺に徒党が集合しているという密告が、信じられたことを証明するであろう。
――かれらは討手を出すに相違ない。
菅田平野は少しあせりだした。かれらが光明寺へ討手の人数を出したらすぐにこっちの行動を始めなければならない。それにはぜひとも陸田氏の所在を探知する必要があった。「あの三老職の話が聞ければいいんだが」と彼はつぶやいた、「――三人の会談の席へ出られれば、なにか緒口がつかめるだろうが」
彼はそのほかに手段はないと思った。そこで、まだ云い残したことがあるから、といって取次ぎを頼もうと決心したとき、おりよく一人の若侍が入って来た。これはあの渡辺という男よりずっと若く、ぶあいそうなふくれ面で、大きな手籠を持っていた。
「お済みになりましたか」と若侍は云った、「よろしければ片づけます」
食膳をさげに来たのである。済んだというと、手籠をそこへ置き、食器をその中へ入れたうえ、膳を持って出ていった。菅田平野は取次ぎを頼もうとはしなかった。