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にちえいのおもいで
日映の思い出
「キネマ旬報 再建第一〇号」1947(昭和22)年2月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,428 字 · 3 页
私は戦争中、日本映画社の嘱託をしていた。一週間に一度出掛けて、試写室でその週のニュース映画と文化映画と外に面白そうなのを見せて貰って、専務と十五分ぐらい話をしてくればよろしいので、だから専務とは十五分ずつ何十回か話を交したわけで、この人は後日映画界の戦犯などゝ云われているが、経営上のことに就ては私は知らないが、映画芸術に対する認識、識見は、先ず日本映画界では他に比肩する社長とか重役はなかったと思う。
私が嘱託になったのは二巻ぐらいの純粋な芸術映画をつくるという約束で、専務のU氏は元来同盟の理事でジャーナリストだが、映画界に関係した以上、何か純粋な芸術品を残したいという夢をいだいていたようだ。
二巻ぐらいの短篇芸術映画ということを言いだしたのは私で、私は能の感覚の頂点だけを綴じ合せたような短篇映画ということを考え、伊勢物語などにその素材に手頃な短篇などを空想していた。こういう観念の幻想的な組み立てには、退屈という大敵があって、美の魅力の持続の時間に限定があり、せいぜい二巻ぐらいのものだと考えていたのである。
あるときU氏に会うと、U氏は旅行から帰ったところで、旅行中読んだ室生犀星の「巴」