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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页
裁面はさいめ、すなわち堺のことで、双方から進んで来て、出おうた所を境にしようというわけであります。そこで春日の神様は鹿に乗ってお立ちになる。伊勢は必ず御神馬に乗って、かけて来られるに相違ないから、これはなんでもよほど早く出かけぬと負けるといって、夜の明けぬうちに出発なされました。そのために却って春日様の方が早く伊勢領にはいって、宮前村のめずらし峠の上で、伊勢の神様とお出あいになりました。おお春日はん珍しいと声をおかけになった故に、めずらし峠という名前が出来ました。ここを国境にしては余りに伊勢の分が狭くなるので、今度は大神宮様の方からお頼みがあり、笹舟を作って水に浮かべて、その舟のついた所を境にしようということになりました。
その頃はまだこの辺は一面の水で、その水が静かで、笹舟は少しも流れません。それで伊勢の神様は一つの石を取って、これは男石といって水の中に投げこまれますと、舟はただようて今の舟戸村にとまり、水は高見の嶺を過ぎて大和の方へ少し流れました。それを見て伊勢の大神が、舟は舟戸、水は過ぎたにと仰せられたので、伊勢の側には舟戸村があり、大和の方には杉谷の村があります。