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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

卵の形をした美しい石であったそうです。後にはどこへ移したのか、知っている人もなくなりました。土地の八幡神社の御神体になっているといった人もあれば、海岸の岡の上に今でもあって、もう三尺余りになっているという人もありました。(太宰管内志。福岡県糸島郡深江村)

大きくなった石というのは、大抵は遠くから人が運んで来た小石で、始めからそこいらのただの石とは違っておりました。下総の印旛沼の近く、太田村の宮間某という人の家では、屋敷に石神様のほこらを建てて、五尺余りの珍しい形の石を祀っていました。むかしこの家の前の主人が、紀州熊野へ参詣の路で、草鞋の間に挾まった小石を取って見ますと実に奇抜な恰好をしていました。あまり珍しいので燧袋の中に入れて持って帰りますと、もう途中からそろそろ大きくなり始めたといっております。(奇談雑史。千葉県印旛郡根郷村)

また千葉郡上飯山満の林という家でも、この成長する石を氏神に祀っていました。これはずっと以前に主人が伊勢参りをして、それから大和をめぐって途中で手に入れた小石で、巾着に入れて来た故に、その名を巾着石と呼んでいました。(同書。