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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

奥州外南部の松ヶ崎という海岸では、海鼠を取る網の中に、小石が一つはいっていたので、それを石神と名づけて祀って置くと、だんだんと大きくなったといって、見上げるような高い石神の岩が村の近くにありました。(真澄遊覧記。青森県下北郡脇野沢村九艘泊)

隠岐島の東郷という村では、昔この浜の人が釣りをしていると、魚は釣れずに握り拳ほどの石を一つ釣り上げました。あまり不思議なので、小さな宮を造って納めて置きますと、だんだん成長して七八年の後には、左右の板を押し破りました。それで今度は社を大きく建て直すと、またいつの間にかそれを押し破ったといって、後にはよほど立派なお宮になっていたそうです。(隠州視聴合記。島根県周吉郡東郷村)

阿波の伊島という島でも、網をひいていますと、鞠の形をした小石が網にはいって上りました。それを捨てるとまた翌日もはいります。そんなことが三日続いて、三日めは殊に大漁であったので、その石を蛭子大明神として祀りました。それから一そう土地の漁業が栄え、小石もまたほこらの中で大きくなって、五六年のうちにはほこらが張りさけてしまうので、三度めにはよほど大きく建て直したそうです。