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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页

青空文庫

おおかたもと一つの話が、後にこういう風に変って来たものだろうと思います。(郷土研究一編。同県同郡下田町)

越中舟倉山の神は姉倉媛といって、もと能登の石動山の伊須流伎彦の奥方であったそうです。その伊須流伎彦が後に能登の杣木山の神、能登媛を妻になされたので、二つの山の間に嫉妬の争いがあったと申します。布倉山の布倉媛は姉倉媛に加勢し、甲山の加夫刀彦は能登媛を援けて、大きな神戦となったのを、国中の神々が集って仲裁をなされたと伝えております。一説には毎年十月十二日の祭りの日には、舟倉と石動山と石合戦があり、舟倉の権現が礫を打ちたもう故に、この山の麓の野には小石がないのだともいっておりました。(肯構泉達録等。富山県上新川郡船崎村舟倉)

これと反対に、阿波の岩倉山は岩の多い山でありました。それは大昔この国の大滝山と、高越山との間に戦争があった時、双方から投げた石がここに落ちたからといっております。そうして今でもこの二つの山に石が少いのは、互にわが山の石を投げ尽したからだということであります。(美馬郡郷土誌。徳島県美馬郡岩倉村)

それよりも更に有名な一つの伝説は、野州の日光山と上州の赤城山との神戦でありました。