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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页
其中でも年をとってから後にその頃のことを考える者に、一番懐かしかったのは地蔵様でありました。大きさが大抵は十一二の子供くらいで、顔は仏さまというよりも、人間の誰かに似ているので見覚えがありました。そうしてまた多くの伝説の管理者だったのであります。
村毎に別の話、一つ一つの名前を持っていたのも、石地蔵に最も多かったようであります。こういう児童の永年の友だちが、いつの間にかいなくなりそうですから、ここには百年前の子供等に代って、書物に残っている三つ四つの話をしてみましょう。古くから有名であったのは、箭負い地蔵に身代り地蔵、信心をする者の身代りになって、後に見ると背中に敵の矢が立っていたなどという地蔵ですが、これはまだその人だけの不思議であります。土地に縁の深い地蔵様になると、特に頼まずとも村のために働いて下さるといって、むしろ意外な出来事があってから後に、拝みに来る者がかえって多くなるので、その中でも、ことに地蔵は、農業に対して同情が厚いということが、一同の感謝するところでありました。足洗わずの地蔵というのは、時々百姓の姿になって、いそがしい日に手伝いに来て下さる。