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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本の怪談(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟹の怪、花の咲く比、不動像の行方、蛇怨、鮭の祟、妖怪記、鍛冶の母、鷲、尼になった老婆、幻術、忘恩、蠅供養、這って来る紐、放生津物語、地獄の使、法衣、餅を喫う、立山の亡者宿、山の怪、山姑の怪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 页
「ぶらり火の出る処には、髪を上から掴まれたような女の首がある、自家のお祖父さんが見たと云うよ」
「怕いなあ」
「怕いとも」
「今でも出るじゃろうか」
「出るとも、髪がこんなになった女の首が、ぶらりんと出て来るよ」
ぶらり火のことを話していた十四五に見える小供は、両手で髪の上を掻きあげるようにしながら、獅子鼻の鼻糞の附いている鼻を前へ突き出すようにした。
「松公、汝は放生の亀の話を知っておるか」
獅子鼻の右横になった松の浮根に竹馬に乗るようにしていた小供が、獅子鼻に向って云った。
「放生の湖には、川の幅が狭って、海へ出られん亀の主がおるよ」
獅子鼻は何でも知っているぞと云うような得意な顔をした。
「そんな話じゃないよ」
松の浮根に乗っている小供が獅子鼻を押えつけるように云ったので、獅子鼻は面白くなかった。
「それなら、どんな話じゃ」
「ある人が、夏、放生の湖へ舟を乗りだして、寝ておると、何時の間にか己が魚になって、湖の中で泳いでおる、どうして魚になったろうと思いよると、そこへ他の魚が来て、海の神様が来たから、お前も同伴に往けと云うから、同伴に踉いて歩きながら己を見ると、己は黄色な大きな鮒になっておる、どうも不思議でたまらんから、理由を聞きたいと思うたが、聞くこともできんから、そのまま踉いて往くと、大きな大きな龍宮のような御殿