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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

という命名自身の意味が甚だ疑わしいものとなるだろう。処が日本的なるもの乃至日本精神の検出に参じ、又は単に日本の特殊事情に関する限りの論文は沢山載っているにも拘らず、日本精神主義乃至之に通じる諸日本主義の批判は、殆んど、平野義太郎氏の「明治中期における国粋主義の台頭、その社会的意義」の一篇だけと云ってもいい。――日本的なものを問題にしながら、或いは日本精神を問題にしながら、日本精神主義の方はあまり問題にならないというこの態度は、その態度自身に日本精神主義が知らず知らず混入していることの有力な症状である。――日本の代表的な思想雑誌の一つに於けるこの一例は意味の深いものだ。

尤も日本的なものの検出、日本の特殊事情の強調、と云っても二つの全く相反した動機と興味とから問題になることが出来るわけで、日本的なものに特殊な興味を示すことが、それだけでは決して保守的でも反動的でもなく、却って具体的に進歩的であることを意味すべき場合があるのはあまりに判りきったことだろう。だがそうだからと云って、自分の動機を識別することなしに単純に、日本的なものに特殊な力点を置くということが、保守的でも反動的でもなく却ってザハリッヒで忠実な研究態度又は認識態度だ、ということにならぬ。