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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
だが所謂アジア的生産様式は何もアジアにだけ特有なものでもなければ、東洋・アジア自身の生産様式そのものだというわけでもない。現在のアジアに於ける生産様式ということがアジア的生産様式の意味でもなければ、まして現在のアジアに於ける生産様式がいつまでもアジア的生産様式に止まっていなければならぬということにもならぬ。
処が口田氏によると、このアジア的生産様式は東洋に於ける固定的生産様式ででもあるように見える。だが何故そうある必要があるのか。それは単にこの東洋主義者・アジア主義者が、橘氏の『農村学』に出て来る「完全全体国民」とか「調和国民社会」とかいうものの外国種に相当するO・シュパン式な「全体」の哲学が好きで、特に農村に於ける「合作運動」というようなゲマインシャフトに無条件に好意を持っているからに過ぎない。――なぜ併しこうしたヨーロッパのファシズム哲学にも紛らわしいものによってさえ理解されねばならぬ「合作運動」が、そんなに気に入るのかと云うと、ただ一つ合作運動が「資本主義を否定するが同時にマルキシズムをも否定する」処の「王道」に則るものだったからに他ならない(一五五頁)。