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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

が、個人が、彼の存在への通路として取り上げられる。だから彼の「人」の存在に於て見出される時間性も、実は人間の歴史性ではなく、又彼の「人」にも本当は何等の社会性(風土性!)はあり得ない。彼が「世の中にある」(In-der-Welt-Sein, Mit-Sein 等々)というものも「人々」と云うものも、つまりは個人的な人の存在に関わっているので、本当の人間存在の規定にはなっていない。之が第一の欠陥だというのである。

人間(実は「人」)の存在をこうした個人的存在(?)と考えることは、ハイデッガーの解釈学的現象学が意識(自覚)をその学的分析の地盤とすることに照応している。事実、意識・自覚を通路とすればこそ、ハイデッガーの哲学法は一種の(解釈学的な)現象学の名に値するわけで、ヴォルフ学派(ランベルト)以来、カントに於てもヘーゲルに於ても、フッセルルに於ても、現象学(フェノメノロギー)とはいつも個人的意識の面に関わるもののことである。だがハイデッガーの現象学はただの「純粋」な現象学ではない。解釈学を導入した、或いは解釈学的にモディファイされた現象学なのである。