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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

学生生徒に対する学生生徒自身の、又大学乃至学校当局、又官憲による、又市民社会そのものによる、教育統制は、今日有名な現象だ。学生生徒自身が教育統制をやるのは変だと思われるかも知れないが、併し前に云った通り、統制は実は統制でなくて或る種の構成だったのだから、右翼学生団などは国家の暗黙の〔承認の中〕にこうした自治的(?)「統制」の機関を構成しているわけになるのである。

普通の学校・大学の教育統制に限らず、三五年四月から始まる青年学校から始めて、各種農村塾、青年団、在郷在営軍人団、各種宗教団、等一切のものが、直接間接に教育統制の分担者であることは断るまでもない。蓋し広義の教育界は、統制の模範実施所に他ならないのである。

処で学術統制の問題になると、一つの困難が之に加わって来る。なる程教育に於ても教育の理想の名の下に、一つの真理が掲げられねばならなかった。処がその理想、その真理が、他ならぬ統制意図自身によって、容易に構成され得たものであった。忠良なる臣民と国家に枢要なる人物の養成は、統制的教育の理想であり得た。併し学術の世界では必ずしもそう簡単に行かない。