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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

は、そういう原始化主義は一応勝手に可能なことだし、又之と直接関係のあることだが、少くとも物質的な現実界の事物に就いても、そういうことを主観的に観念的に欲することは一応勝手なのだから、その意味で、そしてただその意味でだけ、原始化という言葉が許される(復古主義も封建制主義も皆こうした観念運動として初めて意味があった)。例えば物質的生産技術を原始化即ち非技術化すことは現実には不可能だが、併し少くとも観念的に之を欲する主義は一応勝手に可能なのであって、所謂反技術主義という国際的に起こりつつある一つの文明観があると共に、之へ直接連関して唯物論の打倒、反唯物論、の主義も亦観念的には常に可能なのである。

之は一般的に考えた封建制への意識・漠然たる復古主義・一般的な原始主義、に就いてであるが、前に云ったように、日本主義の軍閥的な契機が帰着した処の封建制主義の要点は、その兵農一致(挙国皆兵と農本主義)にあったのだ。処が兵制として職業的武人が存在しないことも、又主として農業を生活の圧倒的な中心とすることも、極めて一般的に云って原始社会の共通特色だということを思い起こす必要があるだろう。