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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页

青空文庫

家の全体の内には例えば部屋という部分が含まれているということは、空間的には問題のないことだが、空間的にしか通用性を保証されていないこの全体―部分の連関を、論理にまで一般化するのだから、当然疑問は起きる筈ではないか。ここへ Nebeneinander(Nacheinander に対して)という範疇を援用して来ても事態は一向有望にはならぬ。氏は「恐るべき問い」や「恐るべき疑問」と云って、哲学青年や明治時代の人生哲学者を捉えそうな興奮にかられる場面を処々で見せるが、「全体」という言葉も、「ヘンカイパン」という言葉から連想されるドイツ文学的興奮を催すので、或いはそこから、教授はその全体―部分の論理の興奮根拠を得ているのではないかと、気を回わしていけないだろうか。――本当に全体であるためには、何でもかでも一遍に這入るものを考えなくてはならぬ。処が事物の関係には矛盾があり排除があるのが少くとも事実であって見れば、相矛盾したものも相排除するものも一緒に仲良く之に這入らねばならぬ。即ち例えば全体主義自身は、部分主義と云ったようなもの迄も含まなくてはならぬ。高橋哲学は反高橋哲学をも含まなければ高橋哲学にはならぬということになる。