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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
として発生し、それがすぐ様政治上の自由主義となったということが歴史上の事実であって、社会主義や其他の政治哲学の場合を他にすれば、一体哲学上の又は文学上の自由主義などというものは、いつ始まったのか私には判らない。今日迄の処、自由主義哲学というものがまだ出来上っていないと見た方が、事実を強いない見方だろうと思う。だが自由主義の哲学などというものは今後も恐らく決して成り立つことの出来ないもので、その理由は後に判る。
自由主義はだから経済的な又政治的な範疇であって、元来哲学者的又文学者的範疇ではなかったのであるが、それが現在の日本などでは、自由主義と云えば、政治上の自由の問題などとは無関係に、哲学者的に文学者的に常識界で通用している。今日では自由主義という常識的用語は、もはや政治的範疇ではなくて文学的範疇になっているのである。云わば文化的自由主義が自由主義の唯一の故郷となっている。
この点に注目しないと、現在の日本に於ける所謂「自由主義」又は所謂「自由主義者」に就いて、適切な断定を下すことは出来ないだろう。自由主義を政治上の問題としてばかり見ていて、之を文学的イデオロギーの問題として見ないとすると、少くとも今日の自由主義者の心事を暴露することは出来ない。