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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
「倫理」主義が一つのトリックであると全く同じ構造に於て、「理想」主義も亦一つのトリックである。もし理想を有つことが理想主義なら、マルクスこそ最もシッカリした理想主義者であったろう。にも拘らず彼は理想主義(又の訳語は観念論)の代りに唯物論を採用した。なぜというに彼の社会主義的理想(それは人間の本当の自由にあったことを忘れてはならぬ――『ドイツ・イデオロギー』を見よ)という観念の上の目的を達するための物質的な実際手段が、唯物論的認識と夫から出て来る方針とだったからだ。マルクスは河合教授や小泉信三教授や其他ありと凡ゆる倫理学者や哲学者が心配するように、事物の必然的法則の認識と行動の実践的方針とを、理論的に混同したものでもなければ、又別々に考えなければならなかったのでもない。現実が論理に、事実が価値に、転化することこそ唯物論によるディアレクティックなのである。と云うのは、元来論理関係乃至価値関係なるものは、現実乃至事実が人類の経験によって原理にまで要約されたものなのだ。この点を忘れるならば、今日現に行なわれている一切の文化の科学的批判などは完全に理解出来ない筈だ。