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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 页
ここからすると、日本主義や自由主義こそ、進歩的だというわけだ。
進歩という観念のこうした理想主義的困難(?)を避けるために、今日の歴史哲学者は発展(開展・展化・発達・進化)という概念を奨励している。ディルタイなどによると、歴史には発展はあるが進歩を考えてはならぬという。之で一応例の困難は回避出来たように思われるかも知れない。併し事実は、困難が一層輪をかけて困難になって来るだけだ。なぜなら発展という概念は、与えられた糸巻きの糸が漸次にほぐれて行くというような意味であって、進歩にとって前方に目標としてあったものが、発展に於ては出発の最初から横たわっているというわけだ。ゴールだったものをスタートにしたまでで、事情は一向改善されはしない。進歩が目的論的でいけないならば、発展という有機体説的概念もやはり目的論的であることを忘れてはならぬ。違いは単にその目的論が内的か外的かということで、歴史が内的に云っても目的論的であってはならないなら、内的目的論だって歴史にとっては矢張り外的なものだ。
処でこういうブルジョア哲学で常識になっている進歩や発展の観念を、その困難から救い出したのは、他ならぬマルクス主義による進歩(それに関連しての発展)という観念なのである。