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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

遂いに止められた。

信綱は徒らに兵を損ずるを憂えて、諸軍に令して、各々占拠の地に陣を取り、夜明けを待つことを命じた。

陣中の盛んな篝火は、寂然たる本丸を、闇の中に浮き出させて居た。

二十八日卯の頃、総軍十二万五千余は、均しく内城に迫った。城中の宗徒も今日が最後と覚悟したから、矢丸を惜しまず、木石を落し、器具に火をつけて投げ、必死に防ぐ。攻囲軍たじろぐと見ると門を開いて突出したが、反撃に支え切れず再び城に逃げ込んだ。

寄手はそこで石火矢を放ったから、城内は火煙に包まれて、老弱の叫声は惨憺たるものである。

板倉重矩緋縅の鎧に十文字の槍をさげ、石谷十蔵と共に城内に乗り込んで、

「父重昌の讐を報ぜん為に来た。四郎時貞出でて戦え」と大呼した。

会々宗徒の部将有江休意、黒髪赤顔眼光人を射る六尺の長身を躍して至った。重矩の従士左右から之に槍を付けようとするのを、重矩斥けて立ち向った。重矩の槍が休意の額を刺し、血が流れて眼に入ったので、休意は刀を抜いて斬りかかって来た。重矩抜き合すや、休意の右肩を斬り下げてついに斃した。

後に間もなく、信綱知って之を賞し、水野勝成は自ら佩ぶる宇多国房の刀を取って与えたと云う。