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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

物騒千万な世の中で、落人となったが最後、誰に殺されても文句がないのであるし、また所在匪賊のような連中がいて、戦争があるとすぐ落人狩をやり出すのである。本能寺の変を聴いて堺から伊賀を通って、三河へ帰った家康だって土民のために危かったし、現に家康と同行していた甲斐の旧臣穴山梅雪は土民のためにやられている。

山崎の合戦の時、近隣の連中が陣見舞に酒肴をもたせて光秀の陣に来た。その中に京都の饅頭屋塩瀬三左衛門と云うものも伺候したが、光秀が献上の粽を、笹をとらずに食ったのでびっくりし、これでは、戦争は敗だと思ったと云う。「粽手に在り」云々の詩がある所以だ。塩瀬と云う菓子屋は、その頃からあったものであるらしい。だが砂糖はやっと当時伝来したものだから、現在のようなおいしい饅頭があったかどうか疑問である。その頃、砂糖入りの菓子を南蛮菓子と云った。今の洋菓子と云うのと同じである。

光秀は、神経質な武将だけに、小胆であろうから、そんな事があったのかも知れない。死ぬ時辞世がある。

順逆無二二門一

五十五年夢

大道徹二心源一

覚来帰二一心一

多分後世の仮作であろうが、光秀も死ぬまで順逆を気にしていただろう。