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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

先日、京都の普茶料理を喰べながら、この逸話を思い出した。普茶料理に昔のおもかげがある。食事の仕方で、人物批判をされたのは、平親王と氏政の二人である。

子を見ること、父に如かず氏康の予言は適中して、凡庸無策の氏政は遂に大勢を誤ったのである。即ち秀吉の実力を見そこなったのである。秀吉に上洛を迫られた時、忙しくて京都まで行って居られぬと断った。尤も氏政にしてみれば徳川家康がその親戚であるから、まさかの時は何とかして呉れる位には楽観して居たのだろう。

若し此の時素直に上洛して、秀吉の機嫌をとっておけば、二百八十万石を棒に振らなくても済んだのである。秀吉にとって北条氏は全滅させなければならぬ程の宿怨があるわけでないからだ。

もう天下を八分まで握っていた秀吉は一度顔を潰されたとなると、決して容赦はしない。家康に調停を乞い、一族の北条氏則を上洛させて弁解に努めたけれど、時機は既に遅い。沼田事件に於ける北条氏の不信を鳴らして、天正十七年十一月二十四日には痛烈な手切文書を発して居るのである。沼田事件と云うのは、氏政上洛の条件として上州沼田を真田から割いてくれ、と云った。