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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页
入道して、謙信と云ったのは、もっと前である。
謙信會つて曰く、「信玄は常に後途の勝を考え七里進むところは五里進み六分の勝をこよなき勝として七八分にはせざるよし。されど我は後途の勝を考えず、ただ弓矢の正しきによって戦うばかりぞ」と云っている。これに依って、この二将の弓矢の取り方が分ると思う。
元来、信濃には五人の豪族が割拠していた。次ぎの通りだ。
(1)平賀源心(佐久郡。平賀城)
(2)諏訪頼茂(諏訪郡。上原城)
(3)小笠原長時(筑摩、安曇郡、深志城〈松本〉)
(4)木曾義康(木曾谷、福島城〈福島〉)
(5)村上義清(小県、埴科、更科、水内、高井諸郡、葛尾城)
信玄は、天文九年から、天文十七年にかけて、これらの諸豪を順次に攻めて、これを滅し、その中最も強大なる村上義清を駆逐して、遂に謙信にその窮状を訴えしむるに至った。
川中島合戦は、村上義清を救うための義戦と云われている。しかし北信にまで武田の手が延びた以上、越後何ぞ安からんである。信濃から春日山城までは、わずか十数里である。常に武田の脅威を受けていては、謙信上洛の志も関東経営の雄志も、伸すに由ないのである。