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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
尾花川
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,678 字 · 17 页
四
その夜かなり更けて、客たちが寝所へはいってから幸子は良人に呼ばれた。小さな火桶を間にして、さし向いに坐ると、太宰はながいこと黙っていたが、やや暫くして「金はどれほどやったのか」と口を切った。
四
「勝手ではございますが十金さしあげました」「……おれにはわからない」太宰は酔の残っている顔をきゅっと歪めた、「どういうわけか、このところ来客に出す酒肴もみすぼらしいほど粗末になった、家内の食事は焼き味噌に菜漬だということも耳にする、……それほど倹しくするおまえが、あのような騙り者に十金という分に過ぎた金を呉れてやる、いったいこれはどういう意味なんだ」
「さしでた事を致しましてまことに申しわけがございません」幸子はつつましく頭を垂れた、「今後はよく気をつけますゆえ、どうぞこのたびはおゆるし下さいまし」
「あやまれというのではない、どういう意味かを訊いているんだ」太宰は苛だたしさを抑えつけるような調子で問い詰めた、「近頃の吝嗇とも思える仕方と今宵の十金とはどういう区別から出たのか、おれはそれが知りたいんだ」
「……あの若者を」と幸子は面を伏せたままようやく答えた、「あのまま放してやってはいけないと存じました、これまでは世を偽っていたかも知れませんけれど、偽るにしても攘夷倒幕を口にするほどですから、導きように依っては必ず同志