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ファルスについて
日本文化私観 坂口安吾エッセイ選
坂口安吾『日本文化私観 坂口安吾エッセイ選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:FARCE に就て、神童でなかったラムボオの詩、花田清輝論、スタンダアルの文体、大阪の反逆。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,974 字 · 47 页
京都で火の会の講演があったとき、織田は客席の灯を消させ、壇上の自分にだけスポットライトを当てさせ、蒼白な顔に長髪を額にたらして光の中を歩き廻りながら、二流文学論を一席やったという。
こういう織田の衒気を笑う人は、芸術に就て本当の心構えのない人だろう。笑われる織田は一向に軽薄ではなく、笑う人の方が軽薄なので、深刻ヅラをしなければ、自分を支える自信のもてない贋芸術の重みによたよたしているだけだ。
先頃、織田と太宰と平野謙と私との座談会があったとき、織田が二時間遅刻したので、太宰と私は酒をのんで座談会の始まる前に泥酔するという奇妙な座談会であったが、速記が最後に私のところへ送られてきたので、読んでみると、織田の手の入れ方が変っている。
だいたい座談会の速記に手を入れるのは、自分の言葉の言い足りなかったところ、意味の不明瞭なところを補足修繕するのが目的なのだが、織田はそのほかに、全然言わなかった無駄な言葉を書き加えているのである。
それを書き加えることによって、自分が利巧に見えるどころか、バカに見えるところがある。ほかの人が引立って、自分がバカに見える。