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にっき

日記

宮本 百合子

30 一九四七年(昭和二十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,669 字 · 24 页

青空文庫

彼として、意味のわかる波瀾はウォタールーに行ったことを告発されて(兄に)ノヴァラ郊外の荒れはてた館に、ベッドの雨もりで傘をさしてねていた頃しかない。あとは、みんな彼をかこむ伯公夫人、大司教その他のマンネリズム処世術から偶発しているばかりだ。

◎スタンダールは、性格としての人間的内在的可能と、環境とのかみ合いを非常に着目したのだろうか。そうだとすればバルザックとの対比で面白い。バルザックの人物の中には只一人も「性格の自覚とその完成の欲望」に到達していた人物はいない。欲望が各人物の主動因であり、それはスタンダールがパルムの僧院の中でけなしつけている「フランス人の金銭欲、虚栄欲」である。「フランス文学史の中で、個性の展開が境遇と積極的にかみ合い、境遇さえ主動的に変化させてゆくような作品があらわれたのはいつ、誰からだろう」スタンダールはこの問題についてどんな役割をしたのだろう。もしかしたら、この「パルムの僧院」や「赤と黒」とが、重大な価値をもっているのではなかろうか。その第一歩として。(アンリー・ブリュラール 1835 を思い出す)「エゴチズムの思い出」