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めいあんよめもんどう
明暗嫁問答
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页
「茶室……じゃあわしはどこで茶をするんだ」
「数寄屋のほうがずっと風流だと思いますがね、あの茶室は凝りすぎていて却って俗すぎますよ、……さっきもうすっかり片付けて、お道具は数寄屋へ運んでおきました、お手数を煩わしたくないと思いまして」
「そういうやつだ。はじめからまるめ込むものときめかかっておる」
「ご承知下さいましょうか」
「そこまで計略をかけられてはしようがないじゃないか、しかしひき取るまえにいちど伴れてまいれ、わしが会って人物を見てから」
「もう来ております」
「…………」勘太夫はうんと云った。
「お笛どのこちらへ」直二郎がふり返ってそう呼ぶと、中庭の生垣の蔭から一人の女がつつましやかにそこへ現われた。磨きあげたような小麦色の肌、切れ長の澄みとおった双眸、艶つやと余るような髪を武家風に結った、二十ばかりの美しい女である。勘太夫は眼を剥いた、それからまるでびっくり箱の蓋でも開けたように、上体をうしろへ反らし、片手を前へつき出しながら、「ひょう」というような奇音を発した。
「お笛どのご挨拶をなさい」と、直二郎は構わず女へ云った、「こちらが私の伯父上です。