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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
「約束通り、細工はちゃんとしておきましたぜ。細工はこれこれ、しかじか。まア、ためしに行ってきてごらん。約束の金はそれからで結構でさア」
と、しごくおおらかで、コセコセしたところがないのは、蛸入やガマの如き小怪物は物の数ではない。大怪物を見事にだましおわせた満足だけで大きに好機嫌であったからだ。
ところが五忘とても、そうチャチな小者ではないから、ベク助の言葉にイツワリなしと見て、耳をそろえて七百両をとりそろえ、
「大そうムリな頼みをしてくれて有りがたい。ガマと自雷也のホリモノはフッツリ忘れたから、どこへなりと行くがよい。長らく性に合わない仏造りは、すまなかったな」
こう云って、アッサリとヒマをだした。
ベク助は足かけ四年、一文もムダに使わず貯えた金だけを肌身につけて、
「長らくお世話になりました。また箕作りのベク助で」
と、道具一式を包みにしてブラリと七宝寺を立ち去ってしまった。
しかし、このまま行きずりながらもフシギな事態を見すてるようなベク助ではなかった。最後の秘密は必ず見届けてみせるぞ、と心に誓い、流浪の箕作りを装って、島田道場を遠まきにセブリをつづけていたのである。