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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
自然にノミをつかんで構えたが、五忘はそれを見てカラカラと笑い、
「坊主首をたッた一つ斬り落して元も子もなくしちゃア合うめえやな。ときにベク助朝臣と見こんで頼みの筋があるが……」
相手の腹を読みきっておちっき払った五忘の様に、ベク助も殺気を失ってしまった。
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氷川の海舟邸から遠からぬ田村町に、島田幾之進という武芸者が住んでいた。
彼がここに道場をひらいたのは五六年前のことであるが、その前身に白頭山の馬賊の頭目だという人もあれば、シナ海を荒した海賊だという人もある。
彼の住居と道場の建設には平戸久作という人が当り、それが完成すると、島田一族三名が手ブラで越してきた。ただ一ツたずさえてきた皮の行嚢の中に黄金の延棒が百三十本ほどつまっていたという話が伝わっている。その何本かを無造作につかみだして平戸久作に手渡したという。
平戸久作はシナで棉花の買いつけをやって産をなした相当の実業家であるが、それが膝をまげて仕えるからには余程の大物、曲者だろうという臆測なのだ。
島田幾之進は五十がらみの六尺豊かの偉丈夫。家族は子供二人だけ。上の男が三次郎で、年はハッキリ分らない。