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ほしのこ

星の子

小川 未明

「婦人公論」1923(大正12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,212 字 · 11 页

青空文庫

明日の晩に、おまえは独りで、町の西の端に河が流れている、あの河を渡って、野原の中にいってみれ、おまえの子供が、なにも知らずに遊んでいるから……。」

こういって、見なれない、白いひげのはえたおじいさんが、あちらの方を指したかと思うと、目がさめたのであります。

そのことを彼女は、朝になって、夫に告げました。

「それは、おまえが平常死んだ子供のことばかり思っているから、夢を見たのだ。そんなことがあるものでない。」と、夫はいいました。

しかし、女は、どうしても、昨日見た夢を忘れることができませんでした。きっと神さまが私のお願いをかなえてくだされたのだろう。とにかく自分は夜になったら、野原にいってみなければならぬと決心しました。

せんだって降った雪は、まだ町の中にも消えずに、そこここに残っていました。彼女は夜になるのを待っていました。その夜は、いつになく空が清らかに晴れて、青くさえたうちに星の花のごとくきれいに乱れていました。その一つ一つ異なった色の光を放って、輝いていたのであります。彼女は、寒い風が吹く中を歩いて、町の西のはずれにいたりました。そこには、大きな河が音をたてて流れていました。