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えいがざっかん(に)
映画雑感(Ⅱ)
寺田 寅彦
「帝国大学新聞」1933(昭和8)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,516 字 · 11 页
作曲者はちがうそうであるのに「パリの屋根の下」の歌のメロディーとどこか似たメロディーがところどころに編み込まれている。その両方に共通なものがおそらく「パリの巷の声」であろう。
フランス語がわからなくて残念であるが、考えようによっては、それがわからないために、それのわかる人にはわからないおもしろみもあるであろう。たとえ言葉はわかっても結局パリっ子でない日本人が見たパリっ子はどうしてもパリっ子の見たパリっ子とは同じではないからである。かえって、下手な活弁を労したり、不つりあいな日本文字のサイドタイトルなどをつけられるよりも、ただそのままにわからぬ言葉を聞くほうがはるかにパリの真実、日本人の見たパリの真実がよくわかるのではないか。それがわかるようにするところに作者の人知れぬ苦心があるのではないか。
「人生謳歌」
グラノフスキーの「人生謳歌」というのを見せてもらった。原名は「人生の歌」というのであるが、自分の見たところではどうも人生を謳歌したものとは思われない。むしろやはり一種のトーテンタンツであるような気がする。実際始めのほうの宴会の場には骸骨の踊りがあるのである。