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しょきかん

書記官

川上 眉山

「太陽」1895(明治28)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,182 字 · 36 页

青空文庫

才物だ。なかなかの才物だとしきりに誉め称やし、あの高ぶらぬところがどうも豪い。談話の面白さ。人接のよさと一々に感服したる末は、何として、綱雄などのなかなか及ぶところでないと独り語つ。光代は傍に聞いていたりしが、それでもあの綱雄さんは、もっと若くって上品で、沈着いていて気性が高くって、あの方よりはよッぽどようござんすわ。と調子に確かめて膝押し進む。ホイ、お前の前で言うのではなかった。と善平は笑い出せば、あら、そういうわけで言ったのではありませぬ。ただこうだと言って見たばかりですよ。と顔は早くも淡紅を散らして、いやな父様だよ。と帯締めの打紐を解きつ結びつ。

綱雄といえば旅行先から、帰りがけにここへ立ち寄ると言ってよこしたが、お前はさぞ嬉しかろうなとからかい出す善平、またそのようなことを、もう私は存じませぬ、と光代はくるりと背後を向いて娘らしく怒りぬ。

善平は笑いながら、や、しかし綱雄が来たらば、二人で同腹になっておれをやり込めるであろうな。この上なお威張られてはたまらぬ。おれは奥村さんのところへでも逃げて行こうか。これ、後楯がついていると思って、大分強いなと煙管にちょっと背中を突きて、ははははと独り悦に入る。