轻松读懂日语经典作品
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つきのまつやま
月の松山
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,451 字 · 41 页
馬では跟けるわけにいかないから、このまえのときは先廻りをさせ、城下の東木戸で待つように命じた。
「弥六はずっと待っていたけれど、とうとう姿をみせなかったと申しますの」と桂は云った、「馬で街道をゆくことは慥かだから、木戸で待っていればみつからない筈はないんですけれど」
「すると城下町ではないのかもしれませんね」
「わたくしもうたくさん、もう諦めることにしました」と桂は云った、「慥かめなくってもおよそわかります、二月から数えてもう九度もでしょう、桂がいくらぼんやりでも、なにがあるかくらいおよそ想像がつきますわ」
「私はこう思うんです」
泰二郎は云いかけて口ごもった。桂が「どうお思いなさるの」と訊いた。するとまた、彼女の躯から香料が匂った。泰二郎はその午後の(道場での)出来事を話した。
「わたくし信じられませんわ」と桂は首を振った、「奉納試合のためだなんて、わたくしには信じられません」
「私はこう思うんです」泰二郎が云った、「宗城さんはあの晩のことを誤解している、私たちが宗城さんのことを心配して、そのことで話しあっていたと云えばいい、けれどそれはあの場では云えなかったし、あとで説明しようとしても聞かなかった、聞いても弁解だと思われたかもしれない――、たぶん、そこにいろいろな原因があるんだと思うんです」