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むらいちばんそうけいせん

村一番早慶戦

佐々木 邦

「冨士」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,468 字 · 34 页

青空文庫

「競争だから無論よくは言わないさ」

「何と言っている?」

「さあ」

「僕も一つ言ったから、君も一つ言ってくれ給え」

「東金さんは道連れが悪いから心配だと言っているよ」

「ふうむ。誰だい? その道連れは」

「慾の市という盲人だそうだ。此奴に引っ張られて行くから、詰まりは泥沼へ落ちるって」

「何方も何方だな」

「ハッハヽヽ」

「君、そこを一つ考えてくれ給え。親同志は何うでも僕達は親友だ。詰まらない競争なんかしたくない。君は何うか知らないが、僕は小学校時代から考えているんだ」

「僕も考えているよ」

「君と僕が気をつければ、親同志も分って来る。側のものがおベンチャラを言うから悪いんだ。僕は小作や出入りのものゝ競争じゃないかと思う。その証拠に、親父は君のところを褒めることがある」

「僕のところでも然うだ。君のお父さんのことを兎に角人物だと言っている」

「お互に認めているんだ」

「家同志のことは僕達が心配したって仕方がないよ。それよりも学校の方だ。僕は競争はしないけれど勉強をする」

「しかし君が勉強すれば、僕も勉強するから競争になる」

「それは違う。僕は上の学校へ行く都合だ。入学試験があるんだから」