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むらいちばんそうけいせん

村一番早慶戦

佐々木 邦

「冨士」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,468 字 · 34 页

青空文庫

して見れば華族さんと親類になった次第だから素晴らしいものだ」

という評判だった。僕は少し心配になった。既に実力がある上に格式がついては敵わない。此方の負けになると思ったが、然ういうことは愚劣な競争だと考え直した。しかし東金君はその頃から急に鼻息が荒くなった。

「君、早稲田は到底慶応の敵じゃないよ」

と真向から来た。無論早慶戦のことだった。早稲田が大敗したシーズンの直後だったから、僕は一言もなかった。此奴、野球に託けて、もう一つの問題を諷しているのかと気を廻した。

「第一、スタンドの色彩が違うだろう。僕の方は百花爛漫だ」

「さあ」

「華族社会は皆慶応のファンだそうだ。○○子爵令嗣が言っていた」

「僕の方は大衆の支持がある。芝生を見給え。一杯だ」

「数より質の問題さ。僕の方のスタンドには華胄界の令嬢が殆んど総動員をしたように集まる。僕は知らなかったが、この間○○子爵令嗣から聞いて、成程、色彩に富んでいる筈だと思った」

「同級生かい? 令嗣は」

「いや、東京の義兄の親類さ」

「然う/\、今度は姉さんがお芽出度う」

と僕は祝意を述べた。

「有難う。君のところからお祝いを戴いた」