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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

従ってわが東京における諸外国大使の動きも非常に活溌であって、或る物識りの故老の言葉を借りると、欧洲大戦当時、ロンドンにおける外交戦の多彩活況も、これには遠くおよばないそうである。

中でも、国民の注目を一番強く集めていたのは、老獪なる外交ぶりをもって聞える某大国であった。

日中戦争が始まって間もなく、既にもうこの某大国の動向が、国民の注目を惹いたものであるが、その当時はどっちかというと、中国の方に相当積極的な同情を示していた。ところがその後、わが日本軍が各地に輝かしい戦績をおさめ、極東のことに関しては日本の同意なしには何一つやれないような事態となったと知るや、某大国はいちはやく態度を豹変し、内面はともかくも表面的には中国に対する同情をひっこめ、そしてひたすら日本の御機嫌をとりむすぶように変った。それはまるで小皺のよった年増女のサーヴィスのように、気味のわるいものだった。

その年の秋が冬に変ろうという十一月の候、例の某大国は日本国民の前にびっくりするような大きな贈物をするというニュースを披露した。それはかつて欧洲大戦の砌、遥々欧洲の戦場に参戦して不幸にも陣歿したわが義勇兵たちのため建立してあった忠魂塔と、同じ形同じ大きさの記念塔をもう一つ作って、わが国に贈ろうという企てであった。