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えいぞうのし

栄蔵の死

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 页

青空文庫

まっとんたんえ、父はん。

口下手なお君には、これ以上云えなかった。云いたい事が胸先にグングンこみあげて来は来ても、一連りの言葉には、どうしてもまとまらなかった。

お金への手土産に、栄蔵は少しばかりの真綿と砂糖豆を出した。

こんなしみったれた土産をもらって、又お金は何と云うかと、お君は顔が赤くなる様だったけれ共、何か思う事があると見えて、お金は、軽々振舞って、

よく見て御出で、

こんなにお君を親切にしてやったのだから。

と云う様に、頼みもしない髪をかき上げてくれたり、茶を入れてくれたりした。

お君には、それが、いかほどか口惜しかった。

お金が台所へ立ってしまうと、お君は父親をぴったり枕のそばに引きつけて、ボソボソと低い声であらいざらいの事を話して愚痴をこぼしたり、恨みを並べたりした。

毎月一週間ずつ入院して、病のある骨盤に注射をしたり、膿を取ったりしなければならないので、かなりの物が入る。

金ばなれの悪い姑から出してもらう事は、いかにも心苦しいと云った。

「そらなあ、

お大尽はんやあらへんさかい辛うおまっしゃろとは思っとりますわな。

けど、あんまりどっせ、