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きりゅうつうしん
桐生通信
「読売新聞 第二七七五五号~第二八〇二五号」1954(昭和29)年3月11日~12月6日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 16,394 字 · 33 页
せんだって「ローマの休日」を見に行った。この映画に限り一週間中午前十時開館というハナバナしさであるから、人気のほどがわかる。早めに行くに限ると考えて映写開始十五分前の朝っぱらに映画館へ到着した。
さすがに自転車がまだ十台ぐらいしかない。すると中の人間は二三十人ぐらいだ。早すぎたかとテレながら切符をもとめて館内にはいると、ほぼ満員ではないか。
私は息をのんだ。みんな女だ。まれに男がいる。アベックだ。私のように一人の男、まして年配の男なんていやしない。敵のように見つめられた。私は幸に座ることができたが、私の右も左も赤チャンをだッこした若奥サンであった。赤チャンを泣かさぬためにおびただしい食糧その他をケイタイし、用意オサオサ怠るところがなかったのである。
私の知る限り、ヘプバーンは桐生市の映画館において人間と自転車の比率を狂わせた最初の人である。
★
私の読んだヘプバーン批評のうち、最も的に当っているように思ったのは日比谷映画劇場の報告だ。それによると、ヘプバーンは少女歌劇の男役の人気だというのである。観客の多くが少女歌劇の愛好者層であったと報じられている。