轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
「文章世界」1913(大正2)年1~2月、1914(大正3)年5月~1918(大正7)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,569 字 · 222 页
四
寂しい夕方の道を友達と一緒に寄宿舎へ引返して行った時は、言いあらわし難い歓喜が捨吉の胸に満ちて来た。
四
「捨さん、お帰りかい」
夏期学校の方から帰って来た捨吉を見て、田辺のお婆さんは土蔵の内から声を掛けた。薄暗い明窓のひかりでお婆さんは何か探し物をしていたが、やがて網戸をくぐって、土蔵前の階段を下りて来た。
家の内にはお婆さんと下女とだけしか見えなかった。細君は長い間煩った為、少年時代からの捨吉の面倒を見てくれたのも主にこのお婆さんであった。そんな訳で捨吉は若い姉さんよりも、反ってこの年とったお婆さんの方に余計に親しみをもっていた。
「小父さんもこの節は毎日のように浜の方サ……姉さんも大勝さんの御店まで……彼女も、お前さん、そういう元気サ……好くなると成ったら、もうずんずん好く成っちまった……まるで嘘みたように……七年も八年も彼女の寝床が敷詰にしたったことを考えると、あたいは夢のような気がするよ……」
お婆さんはいろいろ話し聞かせて、小父さんの妹夫婦も捨吉の留守の間から来て掛っていることなどを話した。玉木さんの小母さんという人には捨吉も田辺の家でちょいちょい逢ったことが有る。