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つちのなかからのはなし

桜の森の満開の下

坂口 安吾

坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页

青空文庫

蘇我氏を支持する帰化人の集団は飛鳥の人口の大半を占め、当時の文化の全て、手工業の技術と富力をもち、その勢力は強大であった。真向からこれを亡す手段がないので、天智天皇は皇居を近江に移してこの勢力の自然の消滅を狙ったが、この勢力の援助なしには新都の経営も自由ではない。その弟の後の天武天皇が兄の天皇の憎しみを怖れて吉野に逃げたのも、この勢力の支持を当にしてのことであった。

持統天皇は藤原遷都によってこの勢力との絶縁を志して果し得ず、奈良の遷都によって始めて絶縁に成功した。天皇家の日本支配がこのときに確立したので、古事記や書紀の編纂がこの時期に行われたのも、天皇家の日本支配を正統づける文献が必要であった為であり、その必然の修史事業の企てによっても、この時期に於ける天皇家の地盤の確立を推定し得るであろう。

爾来、天平の盛時、諸国に国分寺がたち、聖武天皇が大仏の鋳造に勅して、天下の富をたもつ者は朕なり、天下の勢力をたもつ者も朕なり、堂々宣言のある日まで、日本は主として女帝によって孜々として経営がつづけられていた。天皇家の日本支配は女帝によってその意志が持続せられた。