轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
これは一つは土のせいだ。土は我々の原稿用紙のようにかけがえのある物ではないので、世界の大地がどれほど広くても、農民の大地は自分の耕す寸土だけで、喜びも悲しみもただこの寸土とだけ一緒なのだ。ただこの寸土とそれをめぐる関係以上に精神がとどかないので、人間だか、土の虫だか、分らぬような奇妙な生活感情からぬけだせない。土地の私有がなくならぬ限り、農村の魂は人間よりも土の虫に近いものから脱けだすことは出来ないようだ。
農村には今でも狸や狐が人をばかしたり、河童もいるし、それどころか、我々の世界にはすでに地頭はいないけれども、農村にだけはまだ例の到るところの土をつかむ地頭も死なずにいる。だから、私がこれから一つの昔噺をつけ加えても、現代に通じていないことはない。農村は昔のままだ。それは土が昔のままで、その土を所有しているからである。だから、この噺は土の中から生れた噺なのだが、それなら、農民が土を私有しなくなったらこんな噺はなくなるかというと、然し、農民が土を私有しなくなる、ところが、困ったことに、農民が土の怨霊から脱けだす時がきても、人間という奴が、死んだあとでは土の中へうめられて土に還ってしまうので、どうも、これは、困った因縁だ。