轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
家康はその愚かにして笑うべきことを二十年間まもりつづけ、信長の乞いに応じて勝つ筈のない信玄相手の戦争もやる。この戦争のときは家来が全部反対で、絶対に勝ちみがないのだから同盟の約を破って信玄に降伏する方がいいと主張したものだ。戦争を主張し同盟を守ることを固執した唯一の人物が家康であった。そして予想せられた如く完膚なく敗北し、家康は血にそまって、ともかく城へ逃げ帰ることができたのである。そうかと思うと姉川の戦には乞いにまかせて取る物もとりあえず駈けつける。金ヶ崎で退却となり、退却の殿りのいのちがけの貧乏籤を木下藤吉郎と二人で引受ける。家康はこういう気風の人で、打算をぬきに義をまもるという異例の愚かしいことをやり通した。
前田利家という人は、秀吉が木下藤吉郎という足軽時代からの親友で、その頃から女房をとりもったりとりもたれたりの間柄。ともども出世して友情に変りはないが、同時に正義のためには友情とても容赦はしないというのが利家で、彼は正義派だ。その正義とは義であり忠であり、これ又秘密外交陰謀政治の当時には異例で、秀吉の天下になってのちは豊臣家というものを日本の中心と心得、自分の天下というような野心はもたない。