轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页
この狸は通称を団九郎と言い、眷属では名の知れた一匹であったそうな。ほどなく経文を暗んじて諷経に唱和し、また作法を覚えて朝夜の坐禅に加わり、敢て三十棒を怖れなかった。
六袋和尚は和歌俳諧をよくし、又、折にふれて仏像、菩薩像、羅漢像等を刻んだ。その羅漢像、居士像等には狗狸に類似の面相もあったというが、恐らく偶然の所産であって、団九郎に関係はなかったのだろう。
いつとなく、団九郎も彫像の三昧を知った。木材をさがしもとめ、和尚の熟睡をまって庫裏の一隅に胡座し、鑿を揮いはじめてのちには、雑念を離れ、屡夜の白むのも忘れていたということである。
六袋和尚は六日先んじて己れの死期を予知した。諸般のことを調え、辞世の句もなく、特別の言葉もなく、恰も前栽へ逍遥に立つ人のように入寂した。
参禅の三摩地を味い、諷経念誦の法悦を知っていたので、和尚の遷化して後も、団九郎は閑山寺を去らなかった。五蘊の覊絆を厭悪し、すでに一念解脱を発心していたのである。
新らたな住持は弁兆と言った。彼は単純な酒徒であった。先住の高風に比べれば百難あったが、彼も亦一生不犯の戒律を守り、専ら一酔また一睡に一日の悦びを托していた無難な坊主のひとりであった。