轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つちのなかからのはなし

桜の森の満開の下

坂口 安吾

坂口安吾『桜の森の満開の下』。同一底本的分册已合并为一书。收入:土の中からの話、家康、閑山、禅僧、小さな部屋、道鏡。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 页

青空文庫

禅僧であった。

異様なそうして貧弱な肉塊が突然土方に躍りかかった。それが禅僧と分るまで、若者達の誰一人禅僧の存在に気付いた者がいなかったのだ。彼は殴られ、投げだされ、蹴られ、そして冷めたい地面の上であっけなくのびてしまった。土方は居酒屋へひきあげた。若者達が禅僧のまわりに歩みよると、彼は鼻血を流していた。彼は人々の存在にも気付かぬように這い起きて、長い時間を費して何物かを地上に探し漸く拾い当てた物品によって探し物が眼鏡であったと人々に分った。一つの咳も洩らしはせず、それが唯一の念願のように、寺院の方へ消えていった。

とはいえお綱に対する彼の熱情の純粋さももとより当にはならないことで、だるまの言に順えば、その助平坊主の肉慾ほどあくどさしつこさに身の毛のよだつ思いをすることもないと言うのであった。

疲弊した村のことで御布施の集りがよかろう筈はない。金包みの代りに米とか野菜ですますような習慣が次第に一般にひろがって、禅僧は食うだけが漸くだった。

禅僧は恋情やみがたくなったものか、お綱の母親(父はもはや死んでいる)に向って結婚の交渉をはじめた。禅僧の内輪の生活が次第に栄養不良になる一方の乏しいものでも、貧農の目から見れば坊主は裕福という昔からの考えがいくらか残ってはいる。