轻松读懂日语经典作品
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ふくろうのめ
梟の眼
大倉 燁子
「キング 一三巻三号」1937(昭和12)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,354 字 · 23 页
「だから、――大きいの、買うわ」と、勢よく化粧室に飛び込み、パッフで顔を叩いて、外套に手を通しながら、浮き浮きとして出て来た。
春樹は苦笑して、煙草に火を点け、
「じゃ、俺も一緒に出かけるとしようかな」
二人は連れ立って出た。
三越の前で陽子は兄に別れ、軽い歩調でエレヴェーターの中に入った。彼女はもうダイヤの事しか何も考えていなかった。
エレヴェーターを出ると傍目もふらず、真直ぐに、貴金属部へ靴先を向けた。ショウ・ウインドウを覗くと、パッと眼に入った大きなダイヤがあった。沢山の指輪に取り巻かれた真中に、それはまるで女王のように輝いていた。杉村の持っていたのなどより、ずッと立派なものであった。早速、馴染みの店員を招んで、硝子の上をトントン指先で叩きながら、
「ちょいと、この指輪、見せて下さらない?」と云った。
店員は五千八百円という正札を、ぶらりと下げているその指輪を陽子に渡し、なおそのほか気に入りそうなのを五つ六つ並べて見せてくれた、彼女はそれを一つ一つ指にはめては見惚れていたが、やはり最初目についた五千八百円が一番気に入った。欲しいなあ、と思うと我知らず溜息が出る。